1年と4ヶ月、と2ヶ月、と少し。
早朝、
座席がほどよく埋まる程度の乗客をのせた電車。
ドア越しに外を眺める、青色が好きな少年。
通り過ぎてゆく景色。
離れていく、少しずつ、少しずつ
―それは映画のワンシーンのよう。本当にそんな気分だったんだ。
そのシーンを見ていた頭の中の誰かが尋ねてくる。
”このシーンはプロローグ?それともエピローグ?”
うーん。青色が好きな少年は、少しだけ考えて、答えた。
”これはエピローグでもあるし、プロローグでもあるんだ。
あるストーリーの終わりのとこが、次のストーリーの出だしになってるって映画、あるでしょ?この映画もその類なんだと思うよ。平たく言えば”第2幕”ってとこかなぁ。
だってほら、この「青色が好きな少年」も、さっきの「笑みの素敵な少女」も、いつかの作品に登場してたじゃない?”
―幕は下りた。
1年と4ヶ月、と2ヶ月、と少し。長くて短い第1幕。
しかし、リズムは止まない。言葉は紡がれ続ける。
―再び幕が上がる。
リズムは刻まれ続けている。言葉は紡がれ続ている。
”久しぶりだね、懐かしいキミ。”
いつもは月の光を湛えている空が、今日は誰かの代わりに涙を流している。僕か、キミか。
そんな空をいつものように、ちがう心持ちで見上げながら、
僕は、キミは、歩を進めていく。